AIに任せてよい仕事、任せてはいけない仕事──本づくりの線引き

・今井 陵太(ホンカキAI)

#AI活用#本の書き方#専門家

AIをどこまで使うか迷ったときの判断基準です。任せると速くなる工程と、渡した瞬間に価値が消える工程を分け、いちばん危ない「具体例を作らせる」をなぜ避けるべきかまで書きました。

目次(9項目)
  1. 「AIに書かせる」と考えると、たいてい失敗する
  2. 分けるのは「工程」ではなく「決める人」
  3. 任せてよい仕事、任せてはいけない仕事
  4. いちばん危ないのは、具体例を作らせること
  5. 事実確認は、渡した側の責任
  6. 順番を逆にすると、速くなる
  7. それでも、AIを使わない理由にはならない
  8. ホンカキAIなら、決める仕事を手元に残したまま速くなる
  9. まとめ

AIを使って本を書こうとするとき、最初に決めるべきなのは「どのツールを使うか」ではありません。どこまで渡すかです。

ここを決めずに始めると、速く進んだぶんだけ、あとで直す量が増えます。この記事では、任せてよい仕事と、渡した瞬間に価値が消える仕事を分けます。

「AIに書かせる」と考えると、たいてい失敗する

先に結論を書きます。AIは書く速さを上げる道具であって、何を書くかを決める道具ではありません。

コンテンツホルダーの原稿を何度も見てきましたが、外注でもAIでも、つまずく場所は同じでした。中身を決める人が、どこにもいない原稿です。文章は整っているのに、読み終えても何も残らない。

道具の問題ではありません。決める仕事まで渡してしまったことが原因です。

分けるのは「工程」ではなく「決める人」

線を引くときは、作業の種類で分けないでください。「執筆はAI、編集は人」のような分け方は、実際にはうまくいきません。

見るのはその工程に判断が含まれるかです。

  • 判断が含まれない ── 速さがそのまま得になる。任せてよい
  • 判断が含まれる ── 渡すと、あなたである理由が消える

同じ「文章を直す」でも、表記をそろえるのは判断ではなく、どの例を残すかは判断です。

任せてよい仕事、任せてはいけない仕事

具体的に並べます。

任せてよい任せてはいけない
企画切り口の案を複数出すどれを選ぶか決める
構成並べ方の候補を出す何を書かないか決める
執筆下書きを速く作る具体例を用意する
推敲長い文を割る・表記をそろえる断定するかどうかの判断
事実調べる手がかりを挙げる正しいかを確かめる

右の列に共通しているのは、間違えたときに責任を負うのが誰かです。責任を負えない相手に、その判断は渡せません。

任せてよいのは判断が含まれない工程だけ。判断が入る工程を渡すと、あなたである理由が消える
任せてよいのは判断が含まれない工程だけ。判断が入る工程を渡すと、あなたである理由が消える

いちばん危ないのは、具体例を作らせること

表の中で1つだけ選ぶなら、ここです。

AIは、それらしい事例を平気で作ります。「ある製造業の企業では」「筆者のクライアントには」といった書き出しで、実在しない話が出てきます。文章としては自然で、読んでも見分けがつきません。

これが危ないのは、質が低いからではありません。あなたの名前で世に出るからです。読者が確かめようとして事実と違えば、失うのはその一行ではなく、本全体の信用です。

数字、固有名詞、制度や法律に関わる記述。この3つは、どれだけ急いでいても自分で確かめてください。

事実確認は、渡した側の責任

もう少し踏み込みます。AIが間違えたとき、責任はAIにはありません。使うと決めたのはあなたです。

だから確認の工程は省けません。ただし全文を疑う必要はなく、見る場所は決まっています。

  1. 数字 ── 出典を自分が言えるか
  2. 固有名詞 ── 実在するか、名前が正確か
  3. 制度・法律 ── いつ時点の話か、変わっていないか
  4. 「〜と言われています」 ── 誰が言っているのか。言えないなら消す

4つ目が残っていたら、その文はまだ他人の文章です。

順番を逆にすると、速くなる

ここまでの線引きから、進め方が決まります。

多くの人は「AIに下書きさせてから、自分の色を足す」と考えます。逆のほうが速いです。

先に自分にしか書けない部分──具体例、判断、失敗──を出しておく。そのうえでAIに渡せば、任せるのは「あいだをつなぐ説明」だけになります。あとから薄さを埋める作業が消えます。

後から足すのではなく、先に自分の部分を出してからAIに渡す
後から足すのではなく、先に自分の部分を出してからAIに渡す

自分にしか書けない部分をどう取り出すかはノウハウを言語化する5つの質問に、出来上がった下書きが薄いと感じたときの直し方はAIが書いた文章はなぜ読まれないのかにまとめました。

それでも、AIを使わない理由にはならない

念のため書いておきます。ここまで線を引いてきましたが、使わないほうがよいという話ではありません。

判断の含まれない工程は、想像以上の割合を占めます。案を出す、並べ替える、長さをそろえる、話し言葉を書き言葉に直す。ここが速くなるだけで、止まっていた一冊が動きます。

止まる理由の多くは「書けないこと」ではなく「進まないこと」です。手順の全体像はAIで本を書く5ステップにまとめています。

ホンカキAIなら、決める仕事を手元に残したまま速くなる

この記事の線引きは、ホンカキAIの作りそのものです。

この記事の線引きホンカキAIでは
切り口の案を出す(任せてよい)AIの5つの問いに答えると、タイトルと目次のついた企画書ができる。どれを採るかはあなたが決める
下書きを速く作る(任せてよい)AIが下書きを用意し、あなたが自分の言い回しに直す
図にする(任せてよい)25種類の図解ブロックは、AIが下書きを作れる。どこを図にするかはあなたが選ぶ
具体例・事実確認(任せてはいけない)道具は肩代わりしない。あなたが書き、あなたが確かめる

問われて答えるから、自分では価値だと思っていなかったことが出てきます。先に自分の部分を出してからAIに渡す、という順番も、問いに答えるところから始まるので自然にそうなります。

普段 Claude で書いている方は、Claude連携(MCP・スタンダード以上)で原稿を書斎に直接送れます。あとから節を直すときも、Claude が示すのは差し替えの案だけで、あなたが承認するまで本文は変わりません。

AIは共著者であって、代筆者ではない。中身を決めるのは、いつでも著者本人。

まとめ

  • 決めるのはツールではなく「どこまで渡すか」
  • 分ける基準は工程の種類ではなく、そこに判断が含まれるか
  • 任せてよい:案出し・下書き・整形・調べる手がかり
  • 任せてはいけない:何を書かないか・具体例・事実確認・断定の判断
  • いちばん危ないのは具体例を作らせること。あなたの名前で世に出る
  • 数字・固有名詞・制度の3つは、急いでいても自分で確かめる
  • 後から色を足すより、先に自分の部分を出してから渡すほうが速い
  • ホンカキAIなら、案出しと下書きはAIで速くなり、具体例と事実確認はあなたの手に残る

専門家が知見を届ける形にするまでの全体像はコンサルタント・コーチ・講師の方へをご覧ください。

一億総著者 ── あなたの知識や経験は、きっと誰かの一歩になる。速く書けることより、あなたが決めたことのほうが残ります。

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