電子書籍の値段の決め方──専門家が一冊にいくらつけるか

・今井 陵太(ホンカキAI)

#電子書籍#価格#販売

電子書籍の値段は、相場や文字数では決まりません。その一冊が誰に何を渡すためのものかという役割から降りてきます。無料から30,000円までの幅のどこに置くかを決める順番をまとめました。

目次(9項目)
  1. 値段が決めているのは金額ではない
  2. その一冊は誰に何を渡すのか
  3. 相場に合わせると値段が主役になる
  4. 安くすれば読まれるようになるのか
  5. 文字数で決めると値段は薄くなる
  6. その一冊はどの帯に置くのか
  7. 値段は読んだあとの一歩から降りてくる
  8. 決めた値段はどこで確かめるのか
  9. まとめ

電子書籍を売ろうとして、最初に止まるのが値段です。相場を調べても100円から数千円まで並んでいて、決め手が出てきません。

決まらないのは、金額のほうから決めようとしているからです。この記事では、値段の前に決めることと、無料から30,000円までの幅のどこに置くかを書きます。

値段が決めているのは金額ではない

値段は、読む人の手前に引く一本の線です。金額の大小より、その線を越えた人だけが読者になることのほうが効きます。

  • 0円 ── 関心がある人が、ためしに手に取る
  • 数百円 ── 中身を試したい人が手を伸ばす
  • 数千円 ── 自分の課題として解こうとしている人が買う

同じ内容でも、この3つは届く相手が入れ替わります。だから値段を動かすと、読者そのものが入れ替わります。

金額を先に決めると、誰に届くかは後から成り行きで決まります。順番を入れ替えるだけで、迷いはかなり減ります。

その一冊は誰に何を渡すのか

先に決めるのは金額ではなく役割です。役割は次の3つの問いで書き出せます。

  • 誰に読んでほしいか ── 職種と、経験の段階
  • 読み終えた人が、何をできるようになるか
  • 読んだあと、どこへ進んでほしいか

3つめが値段をいちばん動かします。まず見つけてほしいのか、自分で試してほしいのか、相談に来てほしいのかで、置く帯が変わるからです。

値段は、読者と役割と次の一歩を決めたあと、最後に決まる
値段は、読者と役割と次の一歩を決めたあと、最後に決まる

何を渡す一冊にするかが決まっていないときは、テーマの側から戻ります。探し方はコンテンツ販売で売れるテーマの見つけ方にまとめています。

相場に合わせると値段が主役になる

相場は、他人が決めた役割の値段です。同じ500円でも、入口として配る一冊と、商品として売る一冊では中身がまったく違います。

相場に寄せると、金額が先に立ちます。あとは中身をその金額に合わせて削るか、薄く伸ばすかの作業になります。

士業や講師、コンサルタントが顧問先や受講者に手渡す一冊は、部数ではなく相手の数で回ります。年に30人の顧問先に配れば足りる本と、3,000人に読まれて成り立つ本では、同じ値付けにはなりません(モデル例)。

安くすれば読まれるようになるのか

安さは、読み終えることを保証しません。買った時点と、読み終えた時点は別の出来事です。

無料で配る一冊は、そもそも役割が違います。入口として配るものは出会いのために作り、有料の一冊は商品として作ります。

0円と100円の差は、金額の差ではありません。払う側が、これは自分の課題だと認めた一歩の差です。

その一歩を踏んだ人は、最後まで読む理由を持ちやすくなります。有料のものを最後まで読ませる並べ方はnote有料記事の構成テンプレートで扱いました。

文字数で決めると値段は薄くなる

ページ数で値段を決めると、増やすほど高くできることになります。すると水増しの力が働き、読む時間だけが伸びます。

読者が払っているのは、短くなった時間に対してです。同じ結果に早く着くなら、薄い一冊のほうが高くても引き合うことがあります。

値段が乗るのは、次の3つです。

  • 手順 ── その順でやれば、同じ結果に近づける
  • 判断 ── 迷う場面で、どちらを採るか
  • 失敗 ── あなたが先に払った授業料の中身

3つめは、あなたにしか書けません。成功例は他にもありますが、外した話は本人しか持っていないからです。

その一冊はどの帯に置くのか

置き場所は、0円から30,000円までの4つの帯で考えます。ホンカキAIは無料での公開もでき、有料にする場合は1冊 100円から30,000円の範囲で著者が値段を決めます。

値段の帯(モデル例)一冊の役割読み終えた人の次の一歩
0円入口本屋で見つけてもらい、次の一冊へ進む
100〜500円試し読み本体の一冊へ進む
1,000〜3,000円商品自分でやってみる
5,000〜30,000円業務の道具手順を現場に入れ、相談に来る

上の帯ほど、届く人数は減ります。役割と読者が合っているときは、読み終える割合や、読後に動く割合が上がりやすくなります。

値段の帯が上がるほど届く人数は減り、一冊の役割が変わる
値段の帯が上がるほど届く人数は減り、一冊の役割が変わる

100人に3,000円で届く一冊と、3,000人に100円で届く一冊は、金額が近くても別の仕事をします(モデル例)。どちらを選ぶかは、次に何が起きてほしいかで決まります。

値段は読んだあとの一歩から降りてくる

決める順番は4つです。読者、渡すもの、次の一歩、そして金額。

  • まず見つけて読んでほしい ── 0円の帯
  • 中身を試してほしい ── 数百円の帯
  • 自分でやってみてほしい ── 1,000円台から3,000円の帯
  • 現場に入れて相談に来てほしい ── 5,000円を超える帯

逆から回すと、金額に合わせて役割を作り直すことになります。そのときに削られるのは、たいてい判断と失敗の部分です。

置き場所によっても役割は変わります。外部の書店に出す場合との違いは経営者がKindle出版するメリットと、向かない場面に書きました。

決めた値段はどこで確かめるのか

確かめるのは売上の額ではなく、読んだあとに何が起きたかです。見るのは次の4つです。

  • 読み終えた人から、感想ではなく質問が来ているか
  • 本の話が、相談の入口になっているか
  • 同じ説明を、対面で繰り返さずに済んでいるか
  • 問い合わせや面談に来た人が、想定した職種と段階に重なっているか

ホンカキAIの手応えの画面で見えるのは、閲覧と着想と売上です。買った人が誰かは出ないので、職種や段階は、あとから届く問い合わせや面談のほうで確かめます。

読んだ人がその本から着想を得て次の一冊を書くと、知恵の樹としてつながりが見えます。

ずれているときのサインは2つです。買われるのに読まれないなら、中身がその帯に届いていません。読まれるのに次が起きないなら、次の一歩を本の中に書いていません。


まとめ

  • 値段が決めているのは金額ではなく、その線を越えて読者になる人が誰かということ
  • 決める順番は、読者、渡すもの、読んだあとの一歩、そのあとに金額
  • 相場に合わせると値段が先に立ち、中身をその金額へ合わせる作業になる
  • 文字数で決めると水増しが働く。値段が乗るのは手順と判断と失敗の3つ
  • 確かめるのは売上ではなく、どこまで読まれ、そのあとに何が起きたか

一億総著者 ── あなたの知識や経験は、きっと誰かの一歩になる。値段は、その一歩を誰と歩くかを決める線です。

専門家がどこから一冊を組み立てるかはコンサルタント・コーチ・講師の方へ、実際に値段のついた本の並び方は本屋(Akashica)で確かめられます。

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